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『いかにして問題をとくか』を提案テンプレートに仕込む

『いかにして問題をとくか』を提案テンプレートに仕込む

目次

チームに新しく入ってきた人に、最初に紹介している本がある。

Polya の『いかにして問題をとくか』だ。

いかにして問題をとくか

G. ポリア

1945年初版の数学の問題解決書で、数学書の棚に置かれているが、中身は仕事の進め方の本として読める。

この本をただ「読んでおいて」と渡すだけでは、数ヶ月後には本棚の肥やしになる。

だから Notion のドキュメントテンプレートに構造ごと埋め込んで、何かを決めるたびに Polya の問いを通るようにしている。

この記事はその運用の話。

Polya の4ステップ

本の骨子はシンプルで、問題解決を4つのフェーズに分ける。

  1. 問題を理解する — 未知は何か、与件は何か、条件は何か
  2. 計画を立てる — 既知の問題とどう関係づけるか、類似問題はあるか
  3. 計画を実行する — 各ステップを検証しながら進める
  4. 振り返る — 結果と道筋を吟味する

誰かの企画や提案を見ていて「それ、何を解決するんだっけ?」と聞きたくなる瞬間は、だいたい 1 を飛ばして 2 から始まっている。Polya はこれを80年前に見抜いている。

Notion テンプレートへの落とし込み

提案や検討のドキュメントテンプレートは、Polya の4ステップを見出し構造にそのまま写している。

  • 1. 問題の理解
    • 解決したいこと(未知)
    • 現状わかっていること(与件)
    • 制約条件(条件)
    • この問題を一文で言い換えると?
  • 2. アプローチの計画
    • 類似の事例(既存の仕組み・社内事例・過去の判断)
    • 検討した選択肢と却下理由
    • 選んだアプローチとその根拠
  • 3. 実装計画
    • 分解したサブタスク
    • 各ステップの検証方法
    • ロールバック手順
  • 4. 振り返り(実装後に追記)
    • Layer 1: 問題単位
    • Layer 2: 姿勢
    • Layer 3: 周辺状況

ポイントは、

テンプレートは埋めるためではなく、問いを思い出すためにあること。

小さな案件で全セクションを埋めさせるのはやりすぎで、むしろ「1. 問題の理解」だけ書いて話が崩れたら、それはそれで学びになる。

振り返りを3層に拡張する

Polya の「振り返る」は元々、解いた問題に対する検算と一般化の話だ。

これをチーム運用では3階層に拡張している。時間軸をずらして複数回行うのがミソ。

Layer 1: 問題単位
解は正しかったか。想定通り動いたか。未知は本当に未知でなくなったか。

ここは Polya の原典に一番近い。

Layer 2: 問題に立ち向かう姿勢
どう考えたか、どこで詰まったか、別の計画はあり得たか。

本人の思考プロセスをメタに見る層。

ここを書かせると、次の提案の「1. 問題の理解」の解像度が上がる。

Layer 3: 周辺状況
そもそもこの問題はなぜ発生したのか。

組織構造・設計・プロセスのどこに根があるか。

ここに踏み込むと、個別の問題解決が組織学習に変わる。

Layer 3 を同じドキュメント内で追記運用しているのは意図的で、問題解決ログが時間を越えて積み上がっていく。半年後に似たイシューが来たとき、Layer 3 まで辿れるドキュメントは一次資料として効く。

導入してみて

変わったのは提案の質そのものより、提案を出すまでに考える量だった。

「1. 問題の理解」で手が止まる人が出る。それでいい。

手が止まるということは、これまで止まらずに2に突入していたということだ。

注意点が一つあって、テンプレートは思考の補助線であって、埋めるべきチェックリストではない。

セクションを埋めること自体が目的になると、Polya がもっとも嫌った「理解せず手を動かす」の変種になる。

埋まっていない欄があっていい。問いを自分に投げた痕跡が残っていればいい。

まとめ

80年前の数学書が、2026年のドキュメントテンプレートになる。

フレームワークは古びないが、運用で腐る。

Notion に埋めて、振り返りを多層化して、時間軸で積み上げる。

これで初めて Polya は本棚から出てくる。

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